スミレ (菫、 cf: マンジュリカ [学名ベースの愛称])
スミレ
岩手県奥州市(旧 前沢町) 1997年4月29日
スミレ スミレ
大分県由布市 2009年4月15日 alt.=800m
スミレ
熊本県阿蘇郡 2006年4月21日 alt.=640m
スミレ スミレ
スミレ(ブルー) 2005年4月15日 植栽 千葉県 スミレ(白花変種) 2008年3月23日 植栽 神奈川県
スミレ(えび茶) シロガネスミレ

スミレ スミレ(あめじすと)
スミレ(枝咲き)2008年12月9日 植栽 千葉県 スミレ(あめじすと)2016年3月31日 植栽 東京都
枝咲き:花茎の分枝性は遺伝子レベルで固定しており、閉鎖花由来の種子で継承される(他のすみれでも見られるようだ)

スミレ(丹頂)
スミレ(丹頂)2023年3月30日 植栽 東京都
紫条も見られず、白花変種に見えるが、距にだけ赤みがある「乙女型」風。距の色合いは淡紫色ではなく、渋めの赤紫色。

スミレ(ひむれ) スミレ(ひむれ) スミレ(ひむれ)
スミレ 'ひむれ' 2022年4月21日(植栽)
分類 ミヤマスミレ類
学名 基本種 スミレ Viola mandshurica W. Becker Published in: Bot. Jahrb. Syst. 54:179. (1917)
変種
ホコバスミレ Viola mandshurica var. ikedaeana (W. Becker) F.Maek.
アツバスミレ Viola mandshurica var. triangularis (Fr. et Sav.) Mizushima
ニイジマスミレ Viola mandshurica var. triangularis f. niijimensis (Nakai) F.Maek. et T.Hashim.
ケアツバスミレ Viola mandshurica var. triangularis f. pubigera Hiyama ex F.Maek.
品種
ニシキスミレ Viola mandshurica f. albo-variegata Hort. ex F.Maek.
アナマスミレ Viola mandshurica f. crassa (Tatew.) F.Maek.
ノコギリスミレ Viola mandshurica f. dispar Honda
シロガネスミレ Viola mandshurica f. hasegawae Hiyama, 1956
ホロムイスミレ Viola mandshurica f. horomuiensis Sugim., 1965, nom. nud.
オオバナスミレ Viola mandshurica f. macrantha (Maxim.) Nakai ex Kitag.
コモロスミレ Viola mandshurica f. plena Hort. ex F.Maek.

ワカシュウスミレ(俗) Viola mandshurica f. glabripetalla Hiyama
園芸種
スミレ -えび茶- (俗) Viola mandshurica 'Ebicha'
スミレ -明神- (俗) Viola mandshurica 'Myojin'(箱根明神ヶ岳産)
スミレ -ひむれ- (俗) Viola mandshurica 'Himure'
スミレ -一心- (俗) Viola mandshurica 'Issin'
アツバスミレ(二色咲き型) (俗) Viola mandshurica var. triangularis f. bicolor
異名
Viola mandshurica f. macrantha (Maxim.) Nakai ex Kitag.
Viola mandshurica var. boninensis (Nakai) M. Mizushima
Viola mandshurica var. boninensis f. bicolor
Viola niijimensis Nakai
Viola patrinii var. triangularis Franch. & Sav.
Viola taiwaniana Nakai
由来 Viola mandshurica : 「満州の」すみれ、ikedaeana : 人名(池田清次郎氏)、triangularis : 三角形の、crassa : 肉厚の、多肉質の
外語一般名 【中】东北堇菜、紫花地丁、【韓】제비꽃
茎の形態 無茎種
生育環境 陽当たりが重要な生育条件で、樹林下などの薄暗い場所では余り見られない。海岸付近から高山まで見られる。
分布 国内 日本全土で見られる。
海外 満州を含む中国各地、台湾、韓国、ロシア(シベリア東部)。
補足 [注] 台湾には自生せず、過去に別種との混同があった名残との情報がある。
花の特徴 形状 中輪(2cm程度)。唇弁は極めて小さい。比較的、上弁が大きく横に拡がる。
通常、濃赤紫だが、赤紫、純白等、変化が多い。唇弁に紫条、側弁に毛がある。
通常、細長いが変化が多い。
花期 普通。秋も返り咲きが多く報告される。
花柱 棒状と言われるが、逆三角形に膨らむ個体も多い。
芳香 なし。
補足 萼片は披針形で、付属体に切れ込みはない。
葉の特徴 形状 三角状披針形HELP!から丸みがある細長い「へら型」(鈍頭)。極めて低い鋸歯HELP!がある。夏葉は大きくなり、基部が張り出し、長三角状披針形に変形する。
明るい緑色。裏面は若干白っぽい緑色。表面は若干ながら光沢がある
補足 葉柄には翼HELP! がある。葉身HELP!と葉柄の境界部がキュッとくびれている。
種の特徴 形状 倒卵形。
種子:茶褐色から黒褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。
補足 一般に発芽率は良好。
根の特徴 一般に黄褐色から黒褐色、太くて長い。
絶滅危惧情報
基準標本
スミレ : 中国東北部、青島、アムール、ソウル、函館、筑波山、横浜、京都
シロガネスミレ : 東京都 旧白金御料地(国立科学博物館附属自然教育園) 1956/04 by Y. Fukuhara (京都大学収蔵)
アナマスミレ : 北海道礼 文島(アナマ岩付近とされる)
ホコバスミレ : 鹿児島県 霧島 1926/05/16 池田清次郎氏採集(竹内亮氏WHO!命名)
染色体数 2n=48 (Starodubtsev, V. N., 1985, Botanicheskii Žhurnal)
参考情報
その他
日本に多く自生するスミレ属の白花変種には和名が付けられる傾向があるが、意外にもスミレについては知られていない。
ミョウジン型(ミョウジンスミレ)は箱根の明神岳、エビチャ型(エビチャスミレ)は東京の大久保でそれぞれ見つかったもの。
宝塚市の花。
スミレ スミレ スミレ スミレ
左:ふるさと切手「宝塚」(兵庫県)
(2001/03/21発行)
中:ふみの日切手(2005/07/22発行)
右:92円普通切手(2014/3/3発行)
94円普通切手(2019/8/20発行)
* (総務省|郵政事業サイトより)

スミレ スミレ
群馬県渋川市(旧赤城村) 2003年5月4日
上弁に綺麗な白い筋が入っている
スミレ スミレ
スミレ(枝咲き) 2007年12月18日 植栽

スミレ スミレ
千葉県 2003年5月11日 植栽 神奈川県 2008年3月23日 植栽
スミレ スミレ
千葉県千葉市 2006年11月18日
気温が下がる11月中旬になると、この美しい紅色のスミレが咲き出します

スミレ スミレ
北海道北見市 2010年5月30日 alt.=5m

スミレ スミレ
『ゆうぎり』2011年2月13日 植栽 [白花変種]1998年4月6日 植栽

スミレ スミレ
東京都豊島区 2000年4月11日 路地 東京都豊島区 000年4月12日 路地
スミレはとても丈夫で、路傍で良く見かけます

コモロスミレ コモロスミレ
千葉県船橋市 2001年4月7日 路地 こぼれ種で路傍に根付いたコモロスミレ
コモロスミレも丈夫ですが、鉢では八重にならないことがあります

ニシキスミレ ニシキスミレ
2002年4月19日 植栽 2003年5月11日 植栽
ニシキスミレ 白(クリームイエロー)と紅(淡いピンク)の斑入り
園芸品種(栽培品種)名の表現
 園芸品種とは園芸的に優れた形質を持つ系統の保護を目的に作られ、種の分類項目の一つとみなされますが、独立した概念です。
 表記としては"cultivar(cultivated variety)"を付す方法が用いられていました(一般に"cv."と略す)。
 尚、複数形である"cvs."が使用される例は稀有であり、一語で複数の園芸品種を指し示す必要がある場合に限られます。
 従前は右のように表記されていました。 Viola odorata cv. 'Sulphurea' → Viola odorata 'Sulphurea'
 1995年の国際栽培植物命名規約(ICNCP)では、学名欄の通り"cv."を記載しないことになり、旧表記法は廃止されました。
 (2021年現在、国際栽培植物命名規約の最新版は第9版の2016年版 [ISBN 978-94-6261-116-0] です)
 園芸品種(栽培品種)を単に「品種」と呼ぶ例が散見されますが、分類項目の品種("f.")とは異質な概念なので、意識的に区別すべきでしょう。尚、栽培品種名は、正確を期すれば「学名」ではないのですが、便宜上、同様に扱われる例が多く、当サイトも同様です。

スミレ
 日本中、どこでも見られるが、山地では余り見かけない。乾燥した明るい平地や田畑の畦がお好みのようだ。Viola mandshuricaは「満州の」すみれを意味する。スミレという和名を持つため、混同を避けるため、学名のマンジュリカで呼ぶことがある。
1999/06/20

 ところで、この「満州の」という表現を嫌い、「日本のすみれをマンジュリカと呼ぶのは変だ」という声を聞いたことがある。タイプ標本が旧満州国で採集されたものであったら、この命名になんら不思議はないのだが…。日本でも中国でも見られるすみれだということではないかと思う。
 因みに、中文(中国語)名は「東北菫名」、中国各地、台湾、韓国、それからロシアにも自生する。資料が変わると、Viola taiwaniana が正名でV. mandshurica の方が異名とされている。
2006/01/18

 幾つかの品種があり、ニシキスミレ(初期の葉に白や黄色、紅色の斑が入る)、シロガネスミレ(紫条が入る白花、東京の旧白金御料地で見つかった)、明神(唇弁に白い部分が無い濃紫色、箱根の明神ガ岳で見つかった)、コモロスミレ(八重咲き、長野県小諸市で見つかった)などがある。コモロスミレは小諸市の天然記念物に指定されている。地元の方に数人尋ねてみたが、知名度は低いらしい。その他、シマスミレ(俗)、エビ茶スミレなどがあり、とても変異が多い。
(注釈)白金は地名なので、シロガネではなく、濁点のないシロカネと呼ぶのが妥当と考えていたが、原記載を見ると、旧白金御料地の読みが濁るため、シロガネスミレ(新称)とされていたことから修正した経緯がある。
1999/06/20

 高校時代、砂埃の舞うグランドの隅でスミレが元気に咲いていたのを記憶している。2年前、久しぶりに訪ねたら、全く見当たらなかった。その代わりに、ニョイスミレが一面に咲いていた。マンジュリカもニョイスミレも遅咲きなので、花期は合っているはずなのだが…。
1999/06/20

 一般に八重咲きの植物は種子を作ることができない。その理由は、そもそも増えた分の花弁というものが雄しべや雌しべが花弁化したものだからだ。花弁化したことによって生殖機能を失ってしまう訳だが、では、コモロスミレはどうやって子孫を増やしているのだろうか。そう言えば、自宅前のアスファルトの隙間に、こぼれタネから発芽したであろう株が大きく元気に育ったことがある。種子はできていたのだ。この謎を解く鍵は開花期が終わってから立ち上がる「閉鎖花HELP!」にある。そうか、閉鎖花なら花弁化云々とは関係なく種子ができる。
 ただ、閉鎖花由来の種子は自家受粉によるもので、遺伝子の固定化と同じプロセスなのだ。同じ遺伝子を持つことは園芸的には優れているが、遺伝子の多様性は期待できないことになる。
1999/06/20


センスないかも!

 種名としてのスミレと、科名や属名としてのスミレとを区別するため、前者を「マスミレ(真菫)」と呼ぶ…、って本当ですか?
 聞いたことがありませんでした。ネット上で初めて目にしたのは2019年のことです。
 魚のコイを「マゴイ」、蝶のアゲハを「ナミアゲハ」と呼ぶケースに似ていますね。でも、センスない感じがしますが…!^^


スミレ(二重咲き) スミレ(二重咲き) スミレ(二重咲き) スミレ(二重咲き) スミレ(二重咲き) スミレ(二重咲き)
スミレの二重咲き 2019年5月10日(植栽)

(つぶやきの棚)徒然草

 (1999/06/20) Latest Update 2024/03/25 [1,310KB]

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